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吾唯知足

吾唯知足(「われただたるをしる」)、これは「禅の修行者、また在俗の信者によっても愛読された各種の禅宗語録に見える言葉=禅語の語彙集で、室町期から次々と編まれ、心の指針を与えてくれる金句集として、禅僧には禅語に習熟するための手引きとして読まれてきた」禅林句集という中にある言葉で、『己の分際をわきまえ、むさぼりの心を起こさぬこと』という意味です
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今日は久々に電車に乗ってこの言葉を由来とする知足美術館(新潟市)でやっている『杉田玄 ボタニカルアート展』を観に行ってきました
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“ボタニカルアート”という言葉を浅学な私は今回初めて耳にしたのですが、「決して真新しい言葉ではありません。古代エジプトや中国などでは薬草を見分けるために図譜が作られました。それが植物画の始まりです。大航海時代になって、ヨーロッパ諸国が競って世界各地を探検するようになり、珍しい植物を求め奥地にまで入って行きました。まだ写真のない時代、植物学者と画家がペアーを組み、植物学的にも正しく詳しい絵が続々と本国に送られました。送られてきたそれらの絵があまりにも素晴らしいということから、主にイギリスやフランスで19世紀に大流行しました。今やホテルやレストランのインテリアの絵として定着し、愛好されています。日本では、日本画の歴史があり、植物も平面的に描かれていましたが、明治に入り東京大学の植物画教室において立体的に見える植物画が描かれるようになりました。でも、その絵はまだまだ一般的ではなく、絵のジャンルとして確立してきたのはほんの二十年ほど前です。そして、最近になって自然志向の流れと共に、静かなブームを迎えるようになりました。しかし、日本ではまだまだボタニカルアートが広く一般的には認知されていません」と少し長くなりましたが、そういうものなんだそうです

この植物画を描かれた杉田氏は上越市の医師で、あの樹下美術館の館長さんです
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これまでも杉田さんの絵は氏の医院や樹下美術館で拝見したことはありましたが、このように50点もの「細密的に描いたボタニカルアート」は初めてです

そして、展示も冬~春~初夏~夏~秋~初冬と館内を一回りすると上越の四季が感じられるような流れになっています
描かれている植物はどこにでもあり、普段は特に気にもかけないようなものばかりですが、キャンパスの上で生き生きと描かれ、咲いています

パンフレットには「もの言わぬ花の喜びと悲しみ、そして希望。一途な営みに心打たれて…」植物画を描き始められたとありました

「悲しみから希望へ」、そして「吾唯知足」ということ
今、私たちがちゃんと考えなければいけない言葉なのではないのでしょうか…
by mm-nadachi | 2011-03-29 22:49 | 東北地方太平洋沖地震 | Comments(0)


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